臼杵料理の店で鯛味噌を頂いた。甘辛い味付けが温かいご飯に合い、箸が止まらなくなった。思わず「おかわり」と口から出かかった言葉を、膨らんだ腹を見て飲み込んだ。ふと岡山の郷土料理「ままかり」を思った。ニ...

　先輩記者に、写真家・篠山紀信さんの言葉として「写真には心のピントがある」という話を聞いたことがある。下手なカメラマンほどピントがああだ、露出がどうだと言うのだそうだ。巨匠にはそんな理屈を超えた心に訴...

　猛暑の日々は過ぎ去り、日ごとに秋の気配が深まろうとしている。「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」。そんな名句が口をついて出る季節でもある。正岡子規が大和路で詠んだのは１８９５（明治28）年10月28日のこ...

　物価高に円安という環境に、企業や商店としては、すでに値上げや料金据え置きの内容量減少という実質値上げに踏み切っているのが現実で、買いだめや買い控えという消費行動が増え始めている。しかし、値上げをせず...

　演歌の大御所と言えば、この人をおいて思いつかない。芸道60周年を迎えた北島三郎さんである。サブちゃんの愛称で知られ、御年86歳。ＮＨＫ紅白歌合戦出場回数は51回と、男性歌手のトップ。大ヒットしながら...

　「きみがため　をしからざりし　いのちさえ　ながくもがなと　おもひけるかな」。平安時代の小倉百人一首の50番目に載せられた藤原義孝という歌人の歌である。意味は「貴女に会うためならば惜しくないと思ってい...

　「村上イヤー」。今年のセ・リーグは、まさにヤクルトの村上宗隆選手の独壇場だった。最終戦の最終打席で劇的な特大アーチを放ち、日本人選手としては王貞治さんの記録を超えるシーズン56号本塁打を記録した。若...

　今年は、日本に初めて蒸気機関車が走って１５０年を迎える。記念すべき年に身近では９月に西九州新幹線が開業したが、新鳥栖と武雄温泉の間は未着工だ。新幹線の線路の幅は在来線より広いので、当然同区間にも広軌...

　わが家の炊飯器が寿命を迎えた。20年選手だったので、大往生だ。「米が炊ければ何でもいい」という気持ちで家電量販店へ足を運ぶ。到着して、その考えを反省した。各社の特殊な技術、機能、省エネモデルなどの特...

　今年が生誕１３０年に当たる噺家の名人が八代目桂文楽（１８９２～１９７１）だ。稽古熱心の完璧主義で知られた。晩年の高座で登場人物の名前を忘れてしまった。すると「誠に申し訳ありません。もう一度勉強してま...

　プロ野球ファンは、この時期になるとシーズン中のひいきチームの勝ち負けで一喜一憂の心境から、秋の落ち葉を眺めるしんみりとした感慨に変わる。今年も各チームから球界を引退する選手が発表され、また多くの現役...

　「一杯のかけそば」という童話を覚えておられるだろか。舞台は札幌の蕎麦店。大晦日の晩になると、決まって訪れる母親と幼い２人の兄弟がいた。注文するのは一杯のかけそばだけ。それを３人で分け合って食べるのが...

　大阪府議会では、長年の慣例により議員に対して使われてきた「先生」という呼び方をやめるよう求めていく。全職員に対して、慣例はやめるという通知をするという。一般市民から見ると、当たり前じゃないか、何を今...

　ペットで飼っていたコツメカワウソを虐待したとして、インスタグラムでカワウソとの生活を配信していた女性が書類送検された。エサをあげる際、噛みつかれるのが嫌で、紙を丸めたものなどで叩いていたという▼わが...

　昭和は遠くなった。扇谷正造と聞いてもピンとくる人は少ないだろう。敗戦から間もない頃に『週刊朝日』の編集長を務め、辣腕ぶりから「週刊誌の鬼」と呼ばれた。ヒットした企画が著名人との対談企画だった。今では...

　数日前、歯の左下の『親知らず』を抜歯した。虫歯になっていたのと、変な方向に曲がって生えていたので「歯並びに影響が出る」と言われたからだ。周囲から「抜歯は痛い」と脅されていたので気が進まなかったが、こ...

　時折訪ねる酒場の棚にサインボールが飾ってある。「人生先発完投」と書かれている。サインの主は、元ロッテ投手の村田兆治容疑者（72）。闘志むき出しのプレーはファンを魅了し、プロ野球界を支えてきたレジェン...

　認定こども園で園児が通園バス内に取り残されて死亡した。心よりご冥福をお祈りする。もう犠牲者を出してはいけない▼乗務員が２人いたのに確認できなかったのか。声をかけながら指差し確認をしたのか。アプリによ...

　大分市の高崎山で暮らすニホンザルもホッとしていることだろう。同市は南米ウルグアイとの友好の印として、ニホンザルを寄贈する計画を進めていたが、当のウルグアイから辞退の連絡があったという。３年越しで準備...

　今回の台風14号には「過去に例がない危険な」という言葉が付いていたので、今まで以上に心配した。被災された方々に、心からお見舞いを申し上げる▼さて、過去に例がないと言われると、１９９１年９月27日に大...