大分建設新聞

四方山

倍速視聴

2022年11月21日
 テレビ世代の私はネットよりもテレビが好きだ。ただ、テレビの前に座る時間に恵まれているわけではないので、テレビは基本的に録画したものを見る。しかし、元々テレビを見る時間が無いから録画をしているのだから、録画の視聴に追いつかないのが現実で、若者世代を中心にテレビドラマ、映画、アニメなどを1・5倍、2倍のスピードで視聴する「倍速視聴」が広がっているのも気持ちはわかる▼コロナによる巣ごもり需要を狙ったのか、Z世代と呼ばれる若い世代をターゲットにした映画作品を10分~15分程度に再編集した「ファスト映画」を無断アップロードした投稿者の面々は、著作権者侵害で、映像会社から訴訟に持ち込まれた。裁判は時間がかかるという先入観を持っていたが、摘発から民事提訴、判決言い渡しまで、まさにファストという異例のスピード判決が下された▼なぜこんなことに?デジタル化された映画は容易に撮れるため作品数が増えている。しかも、ネットフリックスやアマゾンプライムビデオなどで安価に観ることができる。それに、テレビの地上波、BS、CSなどの放送、ユーチューブなどの無料動画配信も加わり、明らかに情報過多で、若い世代は主導権を持っているどころかコンテンツに追われている背景がある▼私は映画も好きで、時間ができると映画館に足を運ぶ派だが、なかなか時間がとれないので、行く映画を選ぶために事前情報は調べるが、短縮したものを見たいとは思わない▼倍速にして何を飛ばすかというと、会話がないシーンや風景描写だという。私は、逆にそういうシーンが記憶に残るし、自分の思いを持てる。若い世代が飛ばしている、一見ムダとされている情報の中にこそ偶然で想定外な情報が存在し、深みや説得力を持つ新たな発想に役立つものである。(リュウ)
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