大分建設新聞

四方山

流域治水のモデル地域に

2022年10月26日
  竹田市に建設していた「玉来ダム」が来年4月からの運用を前に、11月7日に竣工式が行われる。2014年に河川の流路を変える転流トンネル工事に着手、17年3月から大成・菅・友岡JVによる本体工事が行われるようになった。ダムは、河川やその周辺の自然環境にやさしく、また洪水時以外は水を貯めない治水専用の流水型ダムであることが大きな特徴だ▼私は、ダム建設を児童や生徒、学生らの見学会や工事の節目である式典の取材で見ることができた。特に私が興味を引かれたのは工事初期の岩盤掘削の時だった。本体工事が見学できる高台から、普段見ることができない地下深くの地層が観察できた。地上まで幾重にも重なっている岩盤層は上位に重なった地層ほど新しい(例外を除いて)。一番深い所で「阿蘇1火砕流」と呼ばれる約25万年前、続いて「阿蘇2火砕流」で約15万年前、さらに「阿蘇3火砕流」が約12万年前、最上部が「阿蘇4火砕流」で約8~9万年前と言われる▼竹田市では度重なる水害も発生した。江戸時代では、1619(元和5)年8月の大風雨で洪水により滑瀬橋が落下したとある。また1669(寛文9)年8月に大風雨により城内、城下ともに被害、旧岡藩領内にも多くの被害が発生した。続いて1702(元禄15)年8月に同じく大風雨で洪水が発生、旧岡藩領内各所に被害が発生し領民に死傷者を出すなど、江戸時代だけで11回の記録が残っている▼市中心部は稲葉川、玉来川の大きな河川が流れ盆地を形成する地形は古くから大水害に見舞われてきた。また、多くの人命も失われている。玉来ダムはその大水害から住民を守るべく防災を目的に現代の建設業が挑戦した結果だと言っても過言ではない▼これから流域治水のモデル地域として全国に発信する。(勇)
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