大分建設新聞

四方山

菰巻き

2022年11月15日
 〈菊の香や月夜ながらに冬に入る 子規〉。立冬を迎え、季節の上では早くも冬を迎えた。樹齢100年を超す赤松、黒松が枝を伸ばす別府市野口原の別府公園。その数は約700本という。先ごろ、市職員12人の手で「菰巻き」が行われた。藁を編んだ「菰」が巻かれた松の幹は何やら粋なセーターを羽織っているようにも見える▼恥ずかしながら、菰巻きは防寒対策、あるいは雪除けのためだと思い込んでいた。防虫対策と知り驚いた。松を枯らしてしまうマツカレハという害虫駆除が目的で、菰もただ縄で巻かれているわけではない。暖かな場所を好むマツカレハが入って来やすいよう上部の縄は緩く、逆に下の縄は害虫を逃すまいとギュッときつく縛っている。春になると菰ごと燃やしてしまうという寸法だ▼経験に基づいた生活の知恵なのであろう。法律も同じようなものだ。さまざまな教訓から法として明文化していることが多い。宗教法人法も同様である。信教の自由を重んずるばかりに、国家転覆を狙ったオウム真理教による事件を許してしまった反省から、1996年に改正された▼世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、解散命令請求を視野に、文部科学省が動き始めた。当然であろう。ジャーナリストの有田芳生・前参院議員などによれば、韓国人の創始者は天皇陛下に土下座させると公言し、「日本人の貯金は教会メンバーのもの」と発言していた▼そんな教団と〝政策協定〟を結んでいた保守政党の国会議員もいたという。「売国」という物騒な言葉が頭をよぎる。使ってこそ、法の趣旨は生かされるのであろう。だが、万全ではない。実は、菰巻きの害虫防止効果はそれほどでもないとも指摘される。法も同じである。さび付かぬよう不断の点検はゆめゆめ怠ってはならない。(熊)
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