大分建設新聞

四方山

任命責任

2022年11月14日
 また大臣が失言で辞めた。政治家の失言にはとっくに慣れてしまったが、直近の2人の失言には大きな違いがある。前者は、自分の持つ真実を隠そうとする努力が稚拙なために逆効果になり、信用と信頼を無くし無能な人になってしまった例である。後者は、いつも考えていることが言葉に出るということを理解せず、ただいつも通りに話をしたら炎上してしまったという例で、TPOをわきまえない人の例である▼昭和の名宰相田中角栄も失言があったかもしれないが、多くの名言を遺している。田中の魅力は、実行力であり人間力である。その圧倒的な人間力の源は田中が言葉を大切に考え使っていたことにある。ICT化を勧める国こそ、コンピューター付きブルドーザと称された田中のようなリーダーが必要ではないだろうか▼失言をする人を擁護するつもりはないが「女性のいる会議は時間がかかる」とか「温暖化のおかげで北海道のコメがうまくなった」と自慢気に喋る首相経験者の話を聞きながら、指導されてきたわけだから仕方がないとも言えるし、部下の失態は上司の責任なので、大臣の失言は総理大臣の任命責任だとも言える。推測だが、無能な人やTPOが下手な人でも、いわゆるごますりはうまいのではないだろうか。つまり任命権者は気持ちの良い言葉をしょっちゅう聞かされているので、誤った人選をしてしまうのではないだろうか▼一方で、若者たちに目を向けると、大谷翔平選手や藤井聡太竜王のように失言どころか尊敬できる言葉を並べ、こびも売らない発言をする若者も多い。年齢に関わらず目的に向かって努力を重ねた経験が大切だということだ▼首相が看板に掲げた「聞く力」は傾いたが、組織では任命権者の「聞く能力」が重要だということを教えてくれた。(リュウ)
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