大分建設新聞

四方山

将棋倒し

2022年11月04日
 ソウルの繁華街で痛ましい事故があった。「有名人が来ているらしい」。そんなささやきに吸い寄せられるように、狭い路地に群衆が殺到、将棋倒しになったらしい。痛ましい。日本もそうだが「有名人」という言葉は、ごく普通の人たちの好奇心を刺激するのだろう▼韓国といえば、映画、音楽で世界中に韓流ブームの旋風を巻き起こしていることで知られる。なかでも7人組の男性グループ「BTS」は、国連でスピーチをするなど「21世紀のビートルズ」と評されるほどという。そのBTSが一般紙をにぎわせた。兵役が義務の韓国にあって、その去就が注目されていたが、所属事務所は年長のメンバーから順次、兵役に就くことを明らかにした▼北朝鮮の脅威を尻目に、BTSの兵役免除を認めるかどうかをめぐって、国論を二分する議論になっていたという。徴兵制度のない日本人にとっては想像がつかないが、韓国の友人に言わせると、天国と地獄ほどの違いがあるという。規律に縛られた軍隊での生活。いじめも珍しくない。ファンも先刻承知だから心配でならないらしい▼兵役でのいじめがない代わりに、日本では学校生活でのいじめ問題が深刻化している。県内でみれば、2021年度の認知件数は前年度より758件多い1万476件。児童・生徒1千人当たりに換算すると88・2件で全国3番目の多さという▼県教委は「ささいなトラブルも報告してきた結果だと肯定的に捉えている」(朝日新聞10月28日付県版)と、なぜかプラス思考。本当だろうかと思ってしまう。不登校の児童・生徒数は前年度比420人増の2412人に上り、過去最悪になっているからだ。担当部は学校安全・安心支援課。大仰な名前が逆に不安である。教育現場が将棋倒しとならないことを祈るばかりだ。(熊)
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