大分建設新聞

四方山

初対面は突然に

2022年11月24日
 「新米ができたよ」と義実家から電話をもらった。今年も食卓にありがたい秋の恵みが並ぶ。お米も野菜も帰省するたびに頂戴するので、本当に助かっている。「実家に持っていきなさい」と多めにもらうこともあり、感謝が絶えない。そんな関係を築けている義両親だが、初対面は思わぬ形で訪れたことを、今でも鮮明に思い出す▼職場で知り合い交際が始まった私たちは、当初周囲に関係をオープンにしていなかった。「時が来たら伝えよう」といった心持ちで、友人や両親にも、交際相手のことを伝えていなかった。そんな関係から一年が過ぎた日の夜のこと。外出先で食事を済ませ、車に乗ろうとした時に彼が「お腹が痛い」と言い出した。熱が40度近くあっても仕事に行こうとするほど、体調不良を訴えることがない人がそんな事を言うので、冗談かと思っていた▼「そのうち治まる」とシートを倒して横になって5分後、声を掛けると反応が鈍い。これはおかしいと焦り出した10分後には、もう意識がなかった。慌ててそのまま近くの救急病院に運び、夜間対応口からストレッチャーで運び込んだ。そこからはよく覚えていないが、十二指腸穿孔で緊急手術になることが伝えられ、ただ待合室で祈るしかなかった▼2時間後、病院に義両親がやってきた。息子に交際相手がいたことも知らなかった両親は、私の登場に突然の手術と同じくらい仰天していた。私ときたら、よりによって初対面なのに、ジーンズにセーターという姿。しかしそんなことを気にする余裕も、あの時はなかったというのが正直な所だ▼無事に手術が終わり、後日病室で改めてあいさつさせていただいたが、今では正月の集まりの時に毎回笑い話となる最悪の初対面だった。いやはや、人生は思うようには行かないようできている。(万)
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