大分建設新聞

四方山

八代の宝石

 
2026年10月08日
 令和8年熊本地震が起きた7月28日、その時はちょうど杵築市で意見交換会の取材をしていた。出席者40人ほどの携帯から一斉に緊急地震速報のアラートが鳴り、数秒後に天井の照明が揺れ始めた。コーヒーを運ぶ女性のお盆が傾き、テーブルに手をつく。しばらくして揺れは収まったが、「熊本・震度7」と速報が入り緊張が走った。そして取材が終わるころ、イオンモール熊本が爆発した▼心配になったのが、震源地近くに住む知人のことだった。友人の夫で八代市の実家でトマト農家を営んでおり、「八代の宝石」というカラフルなミニトマトを生産していた。連絡が取れるようになって友人に聞くと、古い木造の家は2階部分の床が抜け全壊状態。家電も全て壊れて住める状態ではないらしい。幸い、農機具などを置いている離れが無事で、今はそちらで仮住まいとのこと。エアコンなどの家電も一式あるらしく、まずは一安心した▼しかし農業の状況は深刻で、トマト畑、イチゴのハウスなどは当分復旧が見込めないらしい。何より農業用水の供給が止まったのが打撃だった。猛暑で苗は熱湯に漬かったような状態になり、住まいの水道の水を汲み、1日15往復もして何とか苗をよみがえらせようと試みたが諦めた、と話していた▼被災地の人に「大丈夫か」と聞けば、「大丈夫」と返ってくる。そう答えるしかないのかもしれない。観光庁は宿泊などで被災地を応援する「九州ふっこう応援割」を10月1日からスタートさせた。少しずつ被災地は復興に向けて歩きだしている▼災害が起こるたびに「私たちに何ができるか」と考える。住居、ライフライン、道路、農地整備…それらは全て、われわれ建設業の分野ではないか。そう、私たちは国民生活の、国の基盤を支え続ける。何度でも、立ち上がって。(万)
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