十分な説明を
2026年10月05日
豊後高田市の旧高田城の外堀で、特定外来生物ナガエツルノゲイトウが見つかった。「地球上最悪の侵略的植物」と呼ばれる南米原産の多年草だ。茎や根の小さな断片からも再生し、水路をふさぎ、田に入り込んで収穫を妨げる。うかつに刈り取れば、かえって広がる厄介者である▼政治の世界にも、刈っても刈っても生えてくるものがあるようだ。利益誘導である。源流をたどれば明治の政治家、星亨に行き着く。政党政治の時代を切り開く一方で、国費による道路建設や治水事業などの見返りに、その地方の票をがっぽり稼ぐ手法を編み出したとされる。強引な手口から「ほしとおる」ならぬ「押し通る」とやゆされた▼その根は、星の時代から1世紀余を経ても枯れない。内閣改造人事で農水相に起用されたばかりの簗和生衆院議員。今年5月に地元栃木県で開かれた自民党支部の会合で、自身を応援しなかった首長がいる二つの自治体について、道路予算を「大幅にカットした」と語る音声が、週刊誌報道で明るみに出た。党の要職にある自分なら「こんなことができる」とも豪語していたというから恐れ入る▼本人は発言を認めつつ誤解を招く表現だったと釈明に懸命だが、始まったばかりの臨時国会の火種となるのは必至だ。星の手法は、曲がりなりにも地域に何かを「持ってくる」ものだった。簗氏の言葉ににじむのは、意に沿わぬ地域から「取り上げる」発想である。星も、同列にするなと嘆くだろう▼予算は、政治家の財布ではない。巨額の予算を預かり、全国に目配りすべき農水相である。いくら就任前とはいえ、与党政治家として、支持の有無でその配分を左右できると誇ったのなら、資質が問われて当然だ。釈明で幕を引くか、根まで断つか。まずは国民の前で、十分な説明が求められよう。(熊)


