非核三原則
2026年08月31日
政治の言葉は、わずかな違いで意味を変える。国是の「非核三原則」もそうだった。元々は、佐藤栄作首相が1967年に国会で示した「核は保有しない、製造もしない、持ち込まない」だった。71年の衆院決議では「持たず、作らず、持ち込まさず」と明記され、76年に「持ち込ませず」となった。「持ち込まない」から「持ち込ませず」へ。わずかな違いだが、他国に持ち込ませないという国家の意思が明確になった▼今年の全国戦没者追悼式で、高市早苗首相は「戦争の惨禍を、二度と繰り返させない」と述べた。近年の首相が口にしてきた「繰り返さない」に「せ」が加わった。いったい誰に「繰り返させない」というのか。念頭にあるのは北朝鮮か、それとも中国、ロシアか。先の戦争の反省に立っていた日本の誓いは、輪郭を変えた▼それに比べ、読売新聞8月28日紙面の単独インタビューでの高市氏の言葉は、実に明快だった。食料品の消費税率を2年間限定で1%に引き下げた後、「2年後に確実に元に戻す」と言い切っていた。しかも「確実に」である。曖昧さはない。まさに決然たる表明といえよう▼暦をめくる。自民党総裁の任期は原則3年。ただ、高市氏は石破茂・前総裁の残任期間を引き継いだため、任期は来年9月までである。2年後はその先である。総裁でいるかどうかも分からぬ時期の税率を「確実に戻す」と約束するのだから、ずいぶん先まで責任を負う覚悟らしい▼ならば、いっそ早めに「続投します」と言ってもらった方が分かりやすい。もっとも、年末には安全保障関連3文書の改定も控える。首相は非核三原則を「政策上の方針として堅持」としているが、そのころ「持たず、作らず、持ち込ませず」はどうなっているのか。こちらもぜひ、「確実に」と聞いておきたい。(熊)


