大分建設新聞

四方山

さよなら・なしか!

2026年08月28日
 また一つ、大分の庶民が慣れ親しんできた味が消えていく。残念だがさまざまな経済情勢や店の事情もあってのこと。致し方ない。7月末、その張り紙は店頭に出た。「諸般の事情により8月31日にて閉店させていただきます。51年間ご愛顧いただきありがとうございました」▼大分市のなしか!ラーメン・米良バイパス店。店は今、別れを惜しむ多くのファンでごった返している。最盛期は大分市内に10数店あったチェーン店の最後の店だ。九州流の札幌ラーメン。ラードを使わずに米こうじみそやピーナッツオイルを効かせた特製みそスープが特徴で、定番のみそラーメンや、辛みとコクが絶妙なネギみそラーメンが人気だった▼1976(昭和51)年に、全国フランチャイズの「くるまやラーメン」として舞鶴橋店からスタート。多いときは九州全域に25店舗、大分市内には10数店舗があった。20数年前からは独立経営となり、店名も大分弁で「なぜ?」の意味の「なしか!…」に。大分弁の投稿を紹介する当時のOBSラジオ人気番組「夕方なしか」から名付けた▼長く人気を博してきたが、ここ数年は市内に豚骨系のチェーン店などが進出して押され、明磧店、舞鶴橋店と相次いで閉店。最後に残ったこの店では、従業員の確保が難しく店じまいを決めた▼8月の終わりを指す季語に「8月尽(じん)」がある。夏休みや盆休み、帰省など大きな行事が続いて8月の末日は他の月より「終わっていく感」が大きい。そんな夏の終わりに、多くの人に愛されてきた店の寂しい退場である▼市内中心部ではこの春、創業から66年の老舗ラーメン店「清陽軒」(大手町)が幕を閉じたばかり。時代の新陳代謝は致し方ないが、馴染んだ味だけでなく、町や人の記憶・思い出、時代をつないできた老舗の閉店は寂しい。(マサ)
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