大分建設新聞

四方山

埋蔵物

2026年07月15日
 各市町村の補正予算が出そろった。日田市の予算書を眺めて、「あっ、出てしまったか」と声を漏らしてしまった。市が計画する高瀬こども園の整備事業。建設予定地の試掘の結果、本格的な埋蔵文化財発掘調査が必要になり、補正予算に関連経費が盛り込まれていた▼大きな声では言えないが、工事予定地から遺構や遺物が見つかると、関係者は時に「出てしまった」と頭を抱える。文化財としては貴重な発見でも、現場や発注者にとっては工程を揺るがす事態だからだ。一方で、地中に埋まっていた遺物などは、歴史そのものでもある。見なかったことにはできない。掘るべき遺構は掘り、記録する。工事の遅れはつらい。費用の上積みも痛い。それでも、ふたをするわけにはいかない▼お隣の福岡県議会では、思わぬ醜聞が掘り起こされて大騒ぎだ。2020年に正副議長に就いた県議2人が、就任前に自民党県議団幹部から「他会派への根回しのゴルフ代」などを求められ、現金で渡したと証言した一件である▼名指しされた側は受領を否定しているが、証言の中で耳目を集めたのが「汗をかく」という言葉である。私たちの業界では、現場の汗は仕事の誇りであり、暮らしを支える証しである。ところが福岡県議会では、先輩議員らのために金を上納することを「汗をかく」と呼んでいたという▼埋蔵文化財なら保存の道を探る。だが、政治の地層から出てきた悪弊ともなれば話は別だ。慣例、根回し、男気。もっともらしい言葉で包まれてきたものを掘り起こし、誰が何を求め、何に使ったのかを明らかにする。福岡だけの問題ではあるまい。地方自治の現場に、見過ごされてきた古い地層が残っていないか。問われるべきは、自治の土台が、住民の信頼を支えるだけの強度を保っているかどうかである。(熊)
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