国力研究会
2026年05月25日
大分市の高崎山自然動物園で、オスザルのナルトがC群の新たなボスに就いた。新ボス誕生の式典では、なかなか姿を見せず、記念品のサツマイモが用意されると、突如現れ奪い取って走り去ったという。何とも分かりやすい。権威より実利。サル山の政治感覚、あなどれない▼永田町では「ボス」を支えようと、新しい群れが発足した。自民党の議員連盟「国力研究会」である。高市早苗首相を支える主流派づくりが狙いとみられていたが、ふたを開ければ自民党所属国会議員417人のうち347人、実に8割超が加入した。ここまで膨らむと、もはや主流派というより党そのものの規模である▼そこには、非主流とされる旧二階派の面々も加わった。朝日新聞5月22日付紙面の取材が深い。旧二階派側には「みんなが入れば意味がなくなる」との計算もあったという。抱きついて骨抜きにする戦法である。旧二階派だけでない。昨年の総裁選に出馬し、ポスト高市をうかがう面々も加わった。長いものに巻かれろとばかり、派閥の意味さえ怪しくなった▼そもそも「国力」といわれても、である。2025年度末の「国の借金」は1343兆8426億円に上る。前年度比20兆円超の増で、過去最大を更新した。想像を絶する借金財政である。しかも、人が減り、地域が細るという社会構造の大変革期を迎えながら、政治は有効な手段を講じられないでいるのが実状ではあるまいか▼それでもなお、「成長」や「国力」といった大きな言葉を振り回されても、空疎に響くだけだ。問われているのは、勇ましい看板ではなく、どう立て直すかであろう。国力研究会の初会合に、高市首相本人の姿はなかったという。日本が置かれている足元を思えば、その看板の大仰さに距離を置いたのか。そう勘ぐりたくもなる。(熊)



