夢
2026年05月20日
ここに一つの記念碑がある。大きな石に刻まれた文字は「夢」。2017(平成29)年5月16日、豊後大野市朝地町の綿田地区で発生した地滑り災害の記録を後世に残し、二度と災害が発生しないことへの祈りを込め刻み込まれたという▼農業を営む地元住民から「自宅の庭が地割れしている」、「田んぼに水を入れたが、翌日無くなっていた」などの声が市に寄せられ、調査したところ大規模な地滑りが起きていることが判明した。被害は東西250㍍、南北400㍍の範囲に及び、当時、9世帯17人が避難するとともに水田13㌶の作付けができなくなった。それから地滑り対策事業と水田のほ場整備が行われ、復興を終えたのは3年後の20年5月だった▼大規模な地滑りの発生原因は、地下水によるもの。地元では昔から「引地」と呼ばれる地名が残っており、太古の昔から地滑りが起きていたのではないかといわれた。また、熊本地震との関連もささやかれたが直接的な関係はないとされた。綿田地区にはきれいな水と粘りのある土壌があり、県内有数のブランド米である「綿田米」を生産する地域だ▼記念碑の碑文には「(前文略)県、市により地滑り対策事業やほ場整備事業が行われ、2018(平成30)年には安全性が確認された太田・徳野原地区の8㌶が、2020(令和2)年からは野添・引地地区を含めた被災したすべての水田で作付けできるようになった。このように大災害に見舞われたが、多くの関係機関を始め支援いただいた方に感謝し、今後も綿田地区の絆を大切に綿田米の生産が維持できるよう夢を持ち集落の発展を念願して礎とする」と書かれてある▼地域住民、行政、建設業が総力を挙げて対応し克服した災害から来年で10年を迎える。今年もおいしい綿田米ができますように。(かぼ)



