大分建設新聞

四方山

たばこと防衛政策

2026年04月08日
 大きな声では言えないが、愛煙家である。禁煙が当たり前のご時世、もともと肩身は狭い。その上、新年度からたばこが値上げされた。最大50円のアップ。要は増税である。加熱式たばこの税負担を紙巻きと同水準に近づける方針で、今年10月にもさらなる値上げが控える。肩身の狭さに、財布の寒さまで加わった▼増税の狙いは防衛力強化の財源確保だ。財務省は年約2200億円の増収を見込む。たばこの販売価格の約6割は、すでに税金だ。朝日新聞のコラムは、たばこ税と軍事費の浅からぬ縁を説いていた。日清戦争で戦費調達のため専売制が敷かれ、日露戦争期には製造販売まで国が独占したという▼150年たっても、軍事とたばこの縁は切れないらしい。厚生労働省は、健康政策として禁煙を推進する。だが一方で、国の根幹に関わる防衛政策の財源を愛煙家の財布に頼らざるを得ない現実。やめろと言いながら、払えとは、身勝手な話である▼その防衛を巡って、お隣の熊本県が揺れている。3月31日、熊本市内の陸上自衛隊駐屯地に長射程のスタンドオフミサイルが配備された。中国沿岸や北朝鮮のほぼ全域が射程に入るとされ、「専守防衛の転換点」とも報じられた。だが、住民説明会は開かれないまま。住民からは「戦争になったらどこに逃げればいいのか」と不安の声が上がる。射程に入る相手国から見れば、発射基地が標的候補になるのは自明の理である▼トランプ米大統領はNATO諸国に防衛費のGDP比5%を迫る。日本にも防衛負担増の圧力は強まるだろう。現行の2%目標も財源確保に苦しんでいるというのに、どこから金を引っ張ってくるのか。先細りの愛煙家から搾っても追いつく話ではあるまい。いっそ喫煙奨励にでも転じますか、と皮肉の一つも言いたくなる春である。(熊)
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