大分建設新聞

四方山

選挙の怖さ

2026年01月13日
 「安全規制に対する暴挙」。原子力規制委員会の山中伸介委員長が学者然とした風貌に似合わず怒りを露わにした。中部電力浜岡原発(静岡県)で発覚したデータ不正問題。耐震設計の根幹である「基準地震動」を、担当者が意図的に過小評価していたという。安全神話の崩壊どころか、技術者としての魂を売り渡す背信行為である▼東日本大震災で起きた未曽有の原発事故。それでも、私たちの国は原発再稼働に舵をきった。「安全・安心」を担保に、である。だが、原発の安全の根幹に関わるところで、「改ざん」が行われていたことに慄然となる。山中氏も予想だにしていなかったのだろう▼「寝耳に水」の騒ぎと言えば、永田町である。読売新聞が放った「高市早苗首相が衆院解散を検討」とする特大のスクープが発端だ。それもそのはず、高市首相は昨年暮れの臨時国会終了後の記者会見で、解散について問われ「考えている暇がない」と明言していたからだ。だが、目くじらを立てるのも野暮というものだ。政界には「公定歩合と衆院解散については、首相は嘘をついてもいい」という、奇妙な不文律がある▼振り返れば、安倍晋三元首相は2014年、何ら前触れもなく解散に打って出て、不意打ちの電撃戦で大勝した。逆に麻生太郎元首相は09年、「早期の解散は考えていない」と明言しながら、解散・総選挙に挑んだが、野党転落の憂き目を見た。虚々実々の駆け引きこそが政治の要諦らしい▼今回の解散に向けた動きは、政権への高い支持率を背景にした乾坤一擲の勝負手であろう。だが、浜岡原発の不正と同様、国民の信頼という地盤が緩んでいれば、強固に見える政権とて一瞬で崩れ去るのが選挙の怖さだ。果たして吉と出るか、凶と出るか。1月の風は、いつになく激しく吹き荒れそうだ。(熊)
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