大分建設新聞

四方山

飲酒事故の罪深さ

2026年01月09日
 深夜、橋の上で悲劇は起きた。夫婦と幼い子ども3人が乗った車が、飲酒運転で時速100㌔の車に追突された。家族5人の車はガードパイプを突き破って15㍍下の海中に転落。沈んでいく車の中に3人の子どもがいた。夫と妻は必死で何回も海に潜り、車の中に手を伸ばしたが無念にも車は水没していった▼2006年8月、福岡市の「海の中道大橋」で飲酒運転の車が起こした死亡事故。4歳の長男、3歳の次男、1歳の長女が犠牲になった。幼い3人の命を奪った事故に、全国で飲酒運転根絶の機運が高まり罰則が強化された。加害者の元福岡市職員には懲役20年の刑が下った▼3人の宝物を一度に失うという悲惨で壮絶な体験をした大上かおりさん(48)が先日、大分市内であった「犯罪被害者支援講演会」で演壇に立った。事故当時29歳だった大上さんは「あれから19年。この間一番大切にしてきたのは亡くなった3人の子どもの事と、新たに生まれた4人の子ども」と切り出した▼なぜ自分は助かってしまったのか、と罪悪感にさいなまれ重いうつ病を患った。悲惨過ぎる体験…。悲しみに耐えるのが精一杯で、憎しみや恨みを抱く余裕もなかった。絶望感の中で新たに授かった4人の子どもの存在に支えられ、生かされた意味を問い続けてきた。その一つが、3人が命に代えて残したメッセージを伝えること。それは飲酒運転撲滅だけではなく、命の尊さと事故の苦しみだった▼全国で飲酒運転の車が起こした死亡事故は一昨年が140件。以前より減っているが撲滅にはほど遠い。県内では毎年200人近くが摘発されている。講演で大上さんは「尊い命が失われないよう、私の話を通して(飲酒運転撲滅が)広がればいいなと思う」と締めくくった。酒を飲む機会の多い季節、くれぐれも自戒を。(マサ)
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