辰巳天井
2026年01月07日
「辰巳天井」という相場格言は生きていたのだろう。昨年末の東京証券取引所の大納会。トランプ米大統領の関税ショックに端を発した株価急落など、波乱含みの株式市場だったが、ふたを開ければ日経平均株価は終値で史上初めて5万円の大台に乗せた。まさに昇り龍の勢い。沸き立つ市場の熱気を背に、時代は巳から午へとたすきをつなぐ▼さて、2026年の幕開けである。今年は60年で一巡する十干十二支で見ると、「丙午」。丙も午も「火」の属性とされ、火が重なることから、火災が多いと恐れられたり、エネルギーが強いがゆえに、世の中が激しく動いたりとされる。振り返れば前回の1966年は、いざなぎ景気のただ中で空前の好況に沸いた▼いいことばかりではない。出生数は前年より約25%減の約136万人に落ち込んだ。「丙午生まれの女性は気性が激しく、夫を食い殺す」という迷信を信じて子作りを控えたのが原因とされる。航空機事故などの惨事も相次ぎ、激動と波乱を予感させる、文字通り火のような一年であった▼「辰巳天井」には続きがある。「午尻下がり」がそれである。辰、巳年の急騰後、その後に続く午年は反落しやすいという戒めの言葉である。なるほど、株高をけん引してきた生成AIブームも「収益化」という試金石を迎え、秋の米中間選挙という不確実性の影もちらつく。天高く跳ねた後の着地にはそれなりの困難が伴う▼だが、悲観ばかりしてはいられない。丙午の「丙」は、物事が形を成し、明るく照らし出される状態を意味するという。古い体制や停滞を焼き尽くし、新たな創造へと向かうエネルギーの象徴であるとも言えよう。激動の時代にあっても、浮足立つことなく地に足をつけ、丙午の熱を、この国の明日を照らす希望の灯火に変える一年としたい。(熊)



