大分建設新聞

四方山

無理をしない勇気

2025年11月19日
 仲代達矢さんの訃報に触れ、名優が座右の銘とした「生涯修業」の言葉の重さを思う。亡くなる直前まで舞台に立ち続け、晩年になっても「まだ未熟」と嘆いた。芸の道の厳しさを知る者ならではの言葉であろう。徹底した自己管理を自らに課した。トレーニングはもちろんのこと、睡眠についても「5時間は必ず取る」と語っていた▼睡眠は健康の根幹である。どれほど志が高くとも、眠らずに積み上がる仕事などない。ナポレオンの「3時間睡眠」は逸話として有名だが、その上手が現代の永田町にいた。高市早苗首相である。国会での質疑の中で「(睡眠は)大体2時間から、長い日で4時間」とさらりと言った。確かに首相の日程は過密だろう。だが国家のかじ取りに携わる者が慢性的な寝不足というのは、どうにも不安を誘う▼例の「台湾有事」発言も睡眠不足の…などと思ってしまう。高市首相は、台湾で武力衝突が起きれば集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」になり得ると踏み込んだ。歴代政権が慎重に避けてきた一線を明確に越えた。もちろん議論すること自体は重要だ。しかし、国会で発する言葉は重い▼一国の指導者の一言は、国際関係の座標を動かし、時には剣ともなる。それを受けて中国の在大阪総領事がSNSで「首を切り落とすしかない」と暴言を吐き、非難の外交合戦に発展した。加えて、中国政府は自国民に対し、日本への渡航を控えるよう要請するなど、挑発と報復はさらにエスカレーションする気配も漂う▼「強い外交」を掲げるのは簡単だ。だが、台湾のために血を流す覚悟が、今の日本国民の間で醸成されているとは思えない。仲代さんは芸を長く続けるには「無理をしない勇気」が必要だとも語っていた。「無理」の先に何が控えているか。歴史が教えてくれる。(熊)
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