大分建設新聞

四方山

秋の蚊

2025年10月03日
 暦の上ではもうすぐ寒露(8日)。秋が深まり草木に宿る露が冷たく感じられる頃とされる。確かに朝夕は涼しくなったとはいえ、日中の暑さはまだまだ夏だ。予報によると10月中は残暑が続き、本当の秋は11月までお預けだという。おまけに12月に入ると例年より格段に寒くなるというから、「秋がない!」と愚痴の一つもこぼしたくなる。日本の四季から秋と春が薄れていくようでなんとも寂しい▼この夏の記録的な猛暑は自然界、動植物にもさまざまな異変をもたらした。暑さのダメージを受けた野菜では、レタスやトマトなどが高値に。わが家の家庭菜園も猛暑でダイコンの種まきが遅れ、いま慌てて準備を進めている▼朝夕が過ごしやすくなったのは確かにありがたいが、厄介な事もある。あまりの猛暑に夏バテし動きが鈍っていた蚊が、9月中旬ごろから活発に動き出しているらしい。蚊は35℃以上の気温では動きが鈍り、25℃から30℃で活発になるという。以前は8月が蚊のピークだったが、昨今の猛暑で動きをひそめ、9月以降になって活発になっている。気温が15℃以下になる11月までは油断ができない▼「秋の蚊のよろよろと来て人を刺す」(正岡子規)―。病床で、弱った秋の蚊に刺されるさまを詠んだ句だが、〝令和の蚊〟は秋になっても元気がいいので要注意だ▼それにしても気候変動、自然界の異変が著しい。人間にとっていいことはほとんどないが、今年は一つだけいいことがあった。サンマの豊漁である。昨年の倍以上獲れており、型も大きく脂が乗って、旨いし安い。海流の変化が豊漁の原因らしいが、来年は漁獲量も型もどうなるか分からないという。せめてこの秋はサンマにカボスをギュッと絞って大いに食べ、こちらも異変が著しい物価高騰の鬱憤(うっ ぷん)を吹き飛ばしたい。(政)
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