大分建設新聞

四方山

総裁選

2025年09月22日
 さながら大トリといったところか。自民党総裁選の軸になると見られている小泉進次郎氏が満を持して立候補を表明した。会見ではカンペをめくりながら答える姿が目立ち、「朗読会か」と冷ややかな声も飛んだ。原稿に頼るのは悪くはない。だが、政治家の言葉は想定外の問いにさらされた瞬間こそ力を試される。厳しい洗礼も人気者ゆえか▼総裁選には、すでに茂木敏充、小林鷹之、林芳正、高市早苗の4人が名乗りを上げており、5人による戦いとなる構図が固まった。早くも「平均賃金100万円増」、「1%程度の実質賃金上昇の定着」、「給付付き税額控除」など耳に心地よいスローガンが飛び交う。財源、工程などを問うのは野暮。さながら夜店の啖呵売のような様相である▼思えば、自民党は参院選敗北の総括で「わが党は党を一から作り直す覚悟で解党的出直しに取り組む」と、真の国民政党として生まれ変わる決意を示したはずである。保守の伝統を踏まえ、「責任政党」たる原点に立ち返ろうという誓いである▼ところが各陣営とも首相経験者である麻生太郎、菅義偉、岸田文雄の3氏の顔色をうかがうように右往左往しているとも報じられる。「キングメーカー詣で」である。想像するに票の取りまとめを期待しているのであろう。でもそれこそ、旧態依然の象徴ではないか。「誰のための総裁選なのか」との問いは一層重くなる。こう言っては身もふたもないが、3氏の首相在任中、自民党が躍進したという話は聞いたことがない▼宇佐神宮の創建1300年の奉祝コンサートで、宇崎竜童さんが往年のヒット曲「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」を熱唱したという。〈あんた、あの娘の何なのさ〉のフレーズを借りれば、〈あんた、自民党の何なのさ〉という国民の声も聞こえそうだ。(熊)
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