一粒に百手の功あたる
2025年09月17日
先日、大分市内のスーパーで備蓄米が販売されていたので、つい買ってしまった。8月下旬に精米された価格は、5㌔2000円ほど。ちょうど店頭に出されて間もなくだったので運よく買えたが、その後すぐに消えた。新米の収穫が待ち遠しいが、いま話題の備蓄米をちょっと試食してみたかった▼コメは、おそらくブレンドされていると思うが、いつも食べている実家のコメ粒よりも少し大きい。大分では高温に強い「なつほのか」の品種転換が図られているが、それぐらいの大きさに感じた。見た目も良く、炊いた時の香りも悪くない。食してみると、想像していたよりもずっとおいしい。備蓄米と言われるだけあって、国がしっかりと低温保存しているからかも▼備蓄米というのは一般的な呼び名だが、正式には「政府備蓄米」。政府は、以前から主食のコメの安定的な供給を図ってきたが、1993年に大凶作となり消費者がスーパーに殺到した。この経験を踏まえ、95年に法律でコメの備蓄を制度化した。現在、年間約20万㌧を購入して5年間で約100万㌧(10年に1度の不作にも供給できる量)を備蓄し、古い備蓄米から入れ替えていく方式を取っている▼さて一部地域では、8月から新米の販売が始まっているが、報道によるとJAによる新米の概算金の引き上げが相次いでいる。秋田、新潟、大分など5県で60㌔当たり3万円台、北海道や青森、広島、佐賀など16道県で2万円台後半など。店頭での販売価格は5㌔で4500円を超える水準になるとも言われている▼消費者には頭の痛いコメの価格高騰だが、「一粒に百手の功あたる」との格言もある。コメの一粒が生産されるまでには、百人の手数を経るという意味だ。ともあれ、毎日、食卓の貴重な主役である「ご飯」に感謝。(勇)