大分建設新聞

四方山

ぬるま湯

2025年08月07日
 最近は、人気漫画「進撃の巨人」のゆかりの地としてすっかり全国的に知られるようになった日田市。山々と豊かな水に恵まれ、キャッチフレーズは「水が磨く郷」。名水の地で麺類にハズレなし―と言われるように、清らかな水でもまれた日田のうどんは、のどごしの良さで知られる▼だが今夏は鍋の中のような猛暑の日々。7月の猛暑日(35度以上)は、過去最多の27日を記録した。厳しい暑さの中、訪れるお客さんに感謝の気持ちを伝えたいとばかりに、「猛暑割」というサービスを始めた店が現れた。予想最高気温に応じて料金を割引しますという趣向だ。額に汗をにじませて店に入った客に、ほんの少しだけ笑顔になってもらいたい。そんな願いが込められているらしい▼同じ「サービス精神」でも、こちらは笑えない。潜水艦修理を巡り、海上自衛隊が川崎重工業から不正に物品を調達していた問題である。各紙の報道によると、実施する予定のない作業の経費を計上して予算を水増しし、川重側が物品を提供するための資金にしていたという。2023年度までの6年間だけで約17億円が捻出されていた▼防衛省の特別防衛監察の調査では、「艦内業務で必要な資材や備品の購入に充てられた」としている。正規の予算手続きでは時間を要するため、やむにやまれず「裏金」をつくったというのである。しかし、である。13人がゲーム機や釣り具など私物の提供を受けていた▼職務権限があれば、贈収賄の罪にも問われかねない事案である。おまけに不正は40年前から続いていたとされる。一連の問題で海自トップの海上幕僚長ら93人が処分されたが、懲戒は一部という。お手盛り処分であろう。「膿を出し切る」と言いながら、緩い規律のぬるま湯にひたった背中は、汗ひとつかいていないのだろう。(熊)
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