大分建設新聞

四方山

戦後80年

2025年08月06日
 今年は戦後80年で節目の年とされる。1945年8月6日にアメリカの爆撃機が広島に、9日には長崎に原子爆弾を投下。全面降伏を決定づけた。両日を広島では「平和記念日」、長崎では「県民祈りの日」として、犠牲者の慰霊や恒久平和を祈る日とする▼アメリカで日本の漫画『はだしのゲン』が人気だ。戦前の広島に生まれたゲン少年が原爆投下を経験し、激動の戦後を生きる姿を描く。25以上の言語に翻訳され、ヨーロッパやアジア、韓国でも売れている。累計発行部数1000万部超、英語版も11万部を超えるそうだ。それを報じる番組で、韓国人の翻訳者が「戦争によって国が南北に分断され、多くの身近な人を亡くしたから、主人公の気持ちがよく分かる」と話していた。平和を祈る作者の思いは、国境を越える▼ところが、広島市教育委員会は2023年度の小学3年生向け教材「ひろしま平和ノート」から「はだしのゲン」を削除した。理由は、「時代背景の説明に時間がかかる」から。世界中で生活・言語・習慣なども違う、多くの人々に読まれているのにである▼昨年10月、核兵器廃絶を訴える日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞。これを機に「核なき世界」も近付くかに見えたが、実情はロシアによるウクライナ原発への攻撃など、道ははるか遠い▼国内では、核兵器禁止条約に否定的な考えを示し、3月の締結国会議へのオブザーバー参加も見送った石破茂首相。トランプ政権の関税措置に対する調整などを優先したのだろうか。15日の終戦の日に予定された「首相見解」も見送られるようだ。いつまでたっても自分の意見を言えないリーダーのもどかしさを何とすればよいのか▼これが「節目」の実態である。夏休みの宿題ではないが、後回しほど怖いものはない。(コデ)
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