大分建設新聞

四方山

一票の重さ

2025年07月01日
 夏空が運ぶ熱波よりも、冷や汗の季節到来を感じているのかもしれない。東京都議選で歴史的大敗を喫した自民党のことである。第一党の座から転がり落ち、間近に迫る参院選に、黄信号が灯る。よほど慌てているのだろう。「消費減税」を訴える野党を意識して、打ち出したのは物価高対策としての「1人2万円」の給付案を公約に盛りこんだ▼案の定、SNSなどでは「ばらまき」「票をカネで買うのか」などと、火の手が上がった。追い打ちをかけるように、一部から疑問の声が上がったのが7月20日という参院選投開票日の設定だ。史上初の3連休の中日に決まったが、これまた「意図的に投票率を下げて、強固な組織票で逃げ切る気か」といった声が広がる▼そんな隙間を縫って台頭するのが「日本人ファースト」を掲げる新興勢力。中でも参政党は都議選で4人のうち3人が当選し、選挙ウオッチャーを驚かせた。外国人受け入れ反対、天皇中心の国づくりなど、刺激の強い主張が目を引く。円安と物価高、それに不安定な国際情勢が続く中、不安をあおる言葉ほど響きやすい時代なのか▼言い換えれば、冷静さより怒りのほうが、票を動かすスピードは速い時代である。だが、足元が揺らぐときほど、見えにくいところの補強が大切になる。土木の世界で言えば、基礎にひびが入った建物を外装だけ塗り直しても仕方がない。防災も財政も、政治も同じ。一過性の魅力より、持続する力が求められる▼その意味では票もまた、未来を支える〝構造材〟である。築くのは、私たち有権者の責任であり義務である。3連休を楽しむ前に、期日前投票するという手もある。自分で決めるか、他者に委ねるか。その選択はこの瞬間にもできる。「国難」と呼ばれる時代であればこそ、一票の重さを確認したい。(熊)
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