大分建設新聞

四方山

希望のバトン

2025年06月06日
 別府市を走る路線バスに、子どもたちの「夢」を乗せる運転席が登場した。亀の井バスが導入した「こども運転席」は、実際のバスの運転席と同じ高さに設けられ、子どもたちが憧れの運転手気分を味わえる仕組み。将来の担い手不足を見据え、地域の子どもたちに「運転士になりたい」と思ってもらうための試みだ▼運転席にちょこんと座り、ハンドルを握る姿は微笑ましい。だがその背中越しには、深刻な運転手不足の現実がある。今年度版の交通政策白書によると、全国の路線バス事業者が2023年度に廃止した路線の総延長は2496㌔で、前年度比1・5倍に上る。人口減に加え、運転手不足で路線廃止、減便が相次いでいる▼業界のイメージ、長時間労働や低賃金といった厳しい労働環境などが複合的に絡み合っているとされる。人手不足は何も運輸業界だけでない。私たち建設業界もまた深刻だ。建設産業専門団体連合会による専門工事業の技能者確保の実態調査結果が弊紙5月2日付紙面に掲載された。「必要だったが1人も採用できなかった」と回答した事業者は41%を超えた▼人材確保に頭を悩ませている実態が浮き彫りになった。手をこまねいているだけでない。弊紙同21日付紙面によると、大建協日田支部の河津龍治支部長は総会で「週休2日制と年5日有休取得を推進し、給与・休暇・希望の新3Kを目指してほしい」と呼び掛けた▼昨秋、大分駅前で開かれた第4回土木建築フェスタ。ショベルカーの操作体験ブースは、子どもたちに人気だった。バスの運転席に憧れ、ショベルカーに目を輝かせる子どもたち。小さな手に握られたハンドルの向こうには、未来の道が続いている。私たちがその思いをしっかりと受け止め、希望のバトンを手渡していくことで、次の時代の光になる。(熊)
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