大分建設新聞

四方山

農相とコメ価格

2025年05月27日
 スーパーの商品棚から消え、国民の嘆きも知らずに、何と無神経な発言だったことか。「コメは買ったことない。支援者がたくさんくださるので売るほどある」。そんな不用意な発言で、大臣の椅子から転げ落ちた江藤拓前農相。釈明もひどかった。「妻から『足りなくなれば買いに行っている』と怒られた」。どこかずれている▼宮崎選出の農政通という触れ込みだったが、実は農政問題に関する失言は過去にもあった。豚コレラの感染拡大が畜産農家を苦しめた2019年のことだ。第2次安倍晋三内閣の農相として、参院農林水産委員会で対応を問われた江藤氏は「そもそも神さまが悪い」と発言した。思わずずっこけてしまいたくなるような答弁である。どこか浮世離れしているのは、2世議員ゆえか▼後任に登板したのは人気者の小泉進次郎元環境相。夏の参院選をにらんで、石破茂首相が白羽の矢を立てた。早速、今後放出する備蓄米の店頭価格について「5㌔2000円程度」を目指すとぶち上げた。4月の全国消費者物価指数は、コメ類が前年同月比約2倍に跳ね上がった▼この間何度か行われた備蓄米の放出も、焼け石に水のような状況が続いている。現状の店頭価格は4000円前後という高水準というのに、いきなり半値に戻せるのであろうか。それも6月初旬の目標設定である。小泉氏といえば、4世議員という永田町きってのサラブレッド。世間離れも筋金入りか…と茶々を入れたくもなるが、秘策があるという▼それは、一般競争入札から随意契約への大転換である。価格決定権を持つ政府だからこそ可能という説明だが、流通システムの調整や業者選定など課題は山積だ。心配をよそに石破首相も「やってみなければ分からない」と前のめり。最後は「神頼み」にならぬよう祈るばかりだ。(熊)
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