大分建設新聞

四方山

世界はどこへ

2025年04月01日
 ミャンマー中部で起きたマグニチュード7・7の大地震。映像を見て驚いた。だるま落としのように、建設中の高層ビルが砂ぼこりを上げて崩落していく。屋上部分の大型クレーンはしっかり固定されたまま、高速エレベーターに乗っているかのように、垂直に落下する光景に息をのんだ。高さ137㍍の建物で、工程の30%程度まで進んでいたという▼最初にその映像を見たとき、てっきりミャンマーで撮影されたものだと思った。ところが、タイの首都バンコクで撮られた映像だった。震源地から約1000㌔も離れた場所である。大分市からだと、宮城県仙台市までの距離に相当する。報道によると、距離が離れていても、ビルの高層階を揺らす「長周期地震動」の影響らしい▼地震の揺れの周期が通常よりも長いため、遠くに揺れが伝わるのが特徴。高層の建物固有の揺れの周期と共振しやすく、震度は小さくても高層階では激しく揺れることがあるという。実は、東日本大震災でも、震源地から約700㌔離れた大阪市の55階建て府庁舎が10分間にわたって揺れ、建物が損傷した▼今回の地震被害は見通せない。多くの命が救われることを願うばかりだ。そんな折に不謹慎だが、いま世界中が「長周期地震動」に見舞われているのではないかと、そんな考えに襲われる。震源地は米国。もちろん、巨大な揺れを引き起こしているのはトランプ大統領である▼戦後80年、世界戦争を防ぐために国際社会が営々と築いてきた秩序を覆し、米国一国主義を推し進めている。象徴的なのは、自動車関税を25%に引き上げたことだ。これまで乗用車が2・5%だったことを思えば、破壊的な引き上げである。中国などは報復に打って出る構えで、さらに強大な揺れになる気配も漂う。世界はどこへ向かうのだろうか。(熊)
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