商品券
2025年03月27日
商品券の歴史は江戸時代中ごろにまでさかのぼるらしい。発祥の地は仙台。商人が得意先に豆腐を贈る習慣があったという。ただ、豆腐は日持ちしないのが難点。そこで、いつでも好きなときに豆腐店に行けば、できたての豆腐と交換できる商品券が考案された。国税庁のホームページによると、「御厄介豆腐切手」と呼ばれていた▼いま、石破茂政権を揺るがす「商品券問題」は、さながら「御厄介商品券」といったところか。「これから御厄介になるね」という気持ちで新人議員15人に配ったであろう、10万円分の商品券が、石破政権どころか、政権党としての自民党にとって「厄介」な代物になってきた。何しろ前政権を担った岸田文雄前首相も在任中に、政務官に10万円分の商品券を配っていたと、朝日新聞がスッパ抜いたからだ▼軌を一にして自民党参院議員が「歴代の首相が慣例として普通にやっていた」と暴露した。騒ぎの広がりに驚いたのか、この議員氏は慌ててて「推測だった」と撤回したものの後の祭り。大方の国民は「さもありなん」と思ったのではなかろうか。野党にとっては好機到来である。「徹底追求」と勇ましいが、お決まりの内閣不信任案を出す気配は見られない。不思議だ▼「政界の狙撃手」「影の総理」と畏怖された政治家がいた。小渕恵三内閣で官房長官を務めた野中広務氏である。政界引退後、会計検査の及ばない官房機密費の使途について暴露したことがあった。毎月5000~7000万円使っていたという▼それも多くは国会対策、要は野党対策に充てられたと明かした。小渕内閣といえば今から四半世紀前の話である。「政治とカネ」に厳しい国民の目が注がれる中、悪習は改まったと信じたいが、どこか及び腰の野党の姿に、野中氏の告白が思い起こされるのだ。(熊)