大分建設新聞

四方山

人生のターニングポイント

2025年03月19日
 幼稚園時代、将来なりたい職業は「婦人警官」だった。お絵描きの時間にもパトカーを描いており、悪を取り締まる正義の味方として、その存在に憧れていた。小学校低学年までその夢は続いていたが、テレビ番組の「密着警察24時」を見て、怖い男性陣に囲まれても毅然と対応しなければならない姿、またその激務ぶりに「自分には無理」と諦めた▼中学時代はお菓子作りが好きだったこともあり、「喫茶店オーナー」を夢見ていた。いまほど、スターバックスコーヒーなどの喫茶チェーン店が普及しておらず、「町の小さな喫茶店」を営むのも面白そうだと考えていた。調理科のある高校に進学しようかと思ったが、親に「コーヒー豆や紅茶葉の味の違いが分からないような人間に、喫茶店経営は難しい」と言われ、試しに紅茶を何種類も買って飲み比べてみた。結果的にアールグレイとセイロンの違いもよく分からず、この夢も潰えた。高校は普通科に進学した▼高校卒業後の進路を考える段階では、具体的になりたい職業はなかった。だが進学校だったこともあり、当時一番興味のあった、心理学を専攻できる大学へ進学した▼心理学と一口に言っても、臨床、犯罪、社会心理など細分化されており、自分はその中の発達心理を専攻する。子どもから大人への一般的な「成長過程の発達」とは異なり、「第2言語習得時における発達」、大人になってから第2言語を習得する上で、何が壁となるのか―などを研究していた。その過程で、日本語教員養成資格も取得した。思えば、文字を綴ったり、校正したりといった力は、ここで得たような気がする▼気付けばその後、紆余曲折あるも、いまは新聞記者をしている。人生のターニングポイントとはどこに設置されているか、分からないものである。(万)
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