大分建設新聞

四方山

金券

2025年03月18日
 こう言っては失礼だが、石破茂首相の野球帽姿、もう一つさまになっていなかった。それでも満面の笑み。6年ぶりに日本で米大リーグの開幕戦が開かれるため、表敬に訪れたドジャースの佐々木朗希投手からプレゼントされたものだった。相好を崩すのも無理からぬことであろう▼スポーツ紙はうまい見出しをつけていた。「このお土産は大歓迎」。むろん、石破氏が配った「お土産」問題で、足元をすくわれかねない事態を皮肉っての見出しである。自民党衆院議員の1期生15人に、1人当たり10万円の商品券を渡していた。石破氏が主催した会食会の土産だったという▼裏金問題に端を発した「政治と金」の問題で、岸田文雄前首相は昨秋、辞職に追い込まれた。石破氏はいわゆる「料亭政治」を嫌い、子分に金を配ることのないクリーンな政治家と見られていた。「政治と金」の問題から縁遠いからこそ、清新な党の顔として期待され、総裁選を制したはずだった。それがこのありさまである▼驚かされたのは、衆院予算委員会での釈明だ。土産代として許容される金額を問われて「100万円単位はお土産に入らない。マックスで10万円」と、土産代としての正当性を強調した。国民の金銭感覚とはかけ離れすぎている。しかも今回が初めてではなく、♪幸せを数えたら片手にさえ余る~と歌った昭和のヒット曲よろしく「両手で数えて足りるか足りないか」と言った▼クリーンなイメージは崩れ去り、今夏に参院選を控えていることもあり、政局は一気に波乱含みになった。田中角栄元首相を「政治の師」と仰いできた。「金権政治」とやゆされた「負の部分」も見習ったというのか。オッと、「金権」ならぬ「金券」である。「政治家のスケールが違う」という、角栄氏の怒りの声が聞こえそう。(熊)
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