大分建設新聞

四方山

何を学ぶか

2025年02月26日
 ゼウスと言えば、ギリシャ神話に出てくる全能の神である。ある時、女神に箱を持たせて人間界に送り出した。ゼウスは「開けてはならない」と命じたが、そういわれると、見たくなるのは神々も同じらしい。女神も箱の蓋を開けてしまう。箱から飛び出したのは疫病、災害といったこの世の災いだった▼女神の名前はパンドラ。触れたら最後、さまざまな災難を引き起こす例えに使われる「パンドラの箱」の語源である。そんな大仰な言葉が大分市の足立信也市長の口から飛び出した。同市役所で発覚した官製談合事件。ごみ収集運搬業務を巡り、入札予定価格を特定の業者に漏らしていたという。長年慣例のように続いていたとも報じられ、問題の根は深そうだ▼埼玉県八潮市で起きた大規模な道路陥没事故。コンクリート製下水道管の腐蝕が引き金になったと見られる中、腐蝕の原因について、不気味な仮説が取り沙汰されている。それは人工透析用の機器を洗浄するために使われる強酸性薬品のことである。中和処理しないまま排水として流され、老朽化したコンクリートをさらに損傷させたという見立てだ▼『週刊現代』2月22日号に詳しい。実際、都内では「透析排水」が原因と見られる道路陥没事故が2017年に起きている。東京都はそれ以降、医療機関に対し、中和処理の指導など対策を講じてきた。八潮市の現場周辺にも複数の透析医療施設があるというが、埼玉県は特段の指導は行っていない▼結論づけるのは早急すぎるが、行政も透析排水への管理を徹底する時期なのではあるまいか。埼玉の陥没事故はパンドラの箱のように、老朽化する下水道の危険性を知らしめた。ギリシャ神話では箱の底に残っていたのは「希望」だったとされる。それは、この事故から何を学び取るかにかかっている。(熊)
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