「俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの」は、ドラえもんに登場するジャイアンの有名な言葉。ジャイアン主義ともいわれる。おかしやゲームを取り上げる際、ジャイアンが言う意地悪な言葉であるが、これには「お前の苦しみや悲しみも俺が一緒に受止める」という深い意味もあるのだ▼「カナダ、グリーンランド、メキシコ湾は俺のもの」と、ジャイアン主義を唱えているのは、トランプ次期アメリカ大統領だ。グリーンランドに関しては、武力行使も辞さないなど、ハチャメチャなことを言っている。これがまかり通れば、「ウクライナは当然、俺のもの」「台湾、沖縄は俺のもの」「パレスチナは俺のもの」なんて言い出す国が出てくる▼ここ最近も、日本製鉄によるアメリカ鉄鋼大手のＵＳスチールの買収が「国家安全保障上の理由」ということで、バイデン大統領によって阻止された。また、ロサンゼルスの大規模な山火事では、焼け野原になった街を報道機関などが「広島のようだ」と形容した。日本人に対するアメリカ人の考え方の本質が見えた気がする。特に同盟国であるはずの日本に対して、安全保障上の懸念があるとは、言葉を失ってしまう▼ロシアによるウクライナへの侵攻などもあり、日本も安全保障の見直しが迫られていると思う。軍拡を進める中国、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮、大統領が逮捕された韓国と、日本の周辺国には不穏な空気が漂っている。日本で有事が起きた際、同盟国のはずであるアメリカは、果たして助けてくれるのだろうか▼トランプ次期大統領は20日に就任する。「アメリカ第一主義」を掲げており、日本へもさまざまな要求をするはず。石破茂総理には、ＵＳスチールの件もあるので、要求を突っぱねるぐらいの器量を見せてほしいものだ。（せい）