思いっきり楽しめる
2025年01月15日
俳優の吉沢亮さんといえば、4年前のNHK大河ドラマ「青天を衝け」で主役の渋沢栄一を演じるなど、実力派とも評されるイケメン俳優の一人だ。何と泥酔した挙げ句、自宅マンションの隣室に侵入していたことが発覚し、ちょっとした騒ぎとなっている。さわやかな好青年という印象からCMにも引っ張りだこで、アサヒビールのキャラクターにも起用されていた▼ところがよりによって、アルコールをめぐるトラブルである。同社は早速、契約を中途解約した。CMは放送中止、ポスターなどの販促グッズは撤去に追い込まれた。かなりの損害を受けたのだろう。同社は吉沢さんに1億円の違約金を請求する意向とも報じられる。「好きなこと思いっきり楽しめる」とは、CMでの吉沢さんのセリフ。その代償は大きい▼同じ違約金でも、こちらの方は聞くだけで暗然たる気持ちになってしまう。日本郵便が下請けの業者に課していた違約金問題である。朝日新聞1月6日付紙面のスクープで表面化した。宅配便「ゆうパック」をめぐり、顧客から苦情が寄せられると、配達の委託業者から高額の違約金を徴収していた▼関東のある郵便局はこんな具合だ。タバコの臭いのクレーム10万円、誤配達5000円~3万円、宅配ボックスへの無断配達3万円…。ドライバーの収入は1日当たりガソリン代込みで1万7000円前後。1回のクレームでまるまる収入が吹き飛んでしまう。露骨な下請けいじめであろう▼日本郵便といえば昨年、郵便、ゆうパックの料金を大幅に値上げしたばかり。自分たちが「思いっきり楽しめる」ための料金改定だったのだろうか。あまりにさもしい。民営化したとはいえ、政府が株式の3割を保有し、公的色彩は依然濃い。それが率先しての下請けいじめとは。あまりに罪深い。(熊)