24年流行語大賞
2024年12月12日
いよいよ年の瀬。2024年を振り返る時期になった。恒例のユーキャン新語・流行語大賞が発表され、今年を象徴する言葉として「ふてほど」が選ばれた。恥ずかしながら、最初耳にした時、頭の周りを「?」マークが回った。テレビドラマ『不適切にもほどがある!』の略称と聞き、ようやく合点がいった▼表彰台に立った、同ドラマで主演した阿部サダヲさん自身も「『ふてほど』とは自分たちでは一度も言ったことがない。周りからも聞いたことがないですね」と困惑の表情を浮かべたとか。無理やり略語にした同大賞事務局の方がよっぽど「ふてほど」では…と突っ込みを入れたくもなる。ただ、裏金問題に明け暮れた今年は、確かに「不適切にもほどがある!」の1年だったよう▼茨城県内の主要病院は、緊急性の低い症状で緊急搬送されてきた患者から7700円以上を徴収する取り組みを始めた。微熱程度の症状で救急車を呼ぶなどのケースが増え、本当に緊急措置が必要な重篤患者の診察を阻害している事態が生じているためだという▼中には救急車をタクシー代わりに使おうとする不心得者もいるというから、それこそ「ふてほど」である。本県も無縁でない。救急車の適正な利用は喫緊の課題とばかりに、大分市は10月から救急車を呼ぶべきか相談できる電話サービス「#7119」事業を開始した。テレビ大分のニュースサイトによると、10月の1カ月で928件の利用があり、何と9割近くが緊急性はなかったという▼それを受けて県は、同サービスを新年度から県内全域で行う考えを示している。命に直結する救急車は貴重なライフラインであり、それが有料化というのは「命の平等」に反し、健全な姿ではあるまい▼今の救急体制を守るためにも「ふてほど」の利用は厳に慎みたい。(熊)