大分建設新聞

四方山

法の壁

2024年12月10日
 もう1カ月以上前の話だが別府市内のバーで、飲食代約2万5000円を踏み倒したとして、59歳の無職男性が逮捕されたと報じられた。よくある話なのだろうが、この男は一人でふらりと店に訪れ、午前4時半ごろから同9時50分までの5時間以上も居座ったという。いくら飲んでいるかといっても、苦痛ではなかったのだろうか▼だが、上には上がいる。はるか離れたみちのくの秋田市内のスーパーでは、人里に下りてきたクマが11月30日朝から12日2日午前までのまるまる2日間も居座り続けた。何しろスーパーである。精肉、鮮魚などクマの好物は山ほどである。さぞかし快適だったことだろう▼猟友会が出動してすぐに駆除すればいいのに…と考えてしまうが、立ちはだかったのが法の壁だったという。鳥獣保護管理法は、駆除であっても住居集合地域での発砲は原則禁じられているからだ。例外的なのは警察官だが、これとて相手が猛獣ともなれば、拳銃ではおいそれと太刀打ちできない。し損じたら逆に襲われる危険すら生じる▼結局、採用された作戦は、店内に蜂蜜とリンゴを入れた箱わなを仕掛け、中に入るのをじっと待ち構えるというもの。結果、駆除まで2日かかってしまったという。長期化といえば、お隣韓国の混乱である。尹錫悦大統領の突然の戒厳令布告で上に下への大騒動に。周知のように戒厳令はわずか6時間で解除されたが、騒擾状況が続く▼野党による国会の弾劾決議も、与党の協力を得られずに不発に終わった。未曽有の混乱を招いた尹大統領の退陣は不可避とも見られるが、当の本人は大統領権限を掌握したままであり、法的にも保障されている。法の壁だ。「道義的責任」とは、法に基づくものではなく、自身の内面の問題である。果たして、どう決着をつけるのか。(熊)
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