大分建設新聞

四方山

詐欺に注意

2024年10月18日
 1990年代のグルメブームを巻き起こしたテレビ番組「料理の鉄人」に出演し、「ご意見番」的なコメントで人気を集めた服部幸応さんが他界した。78歳だった。辛口のコメントの中にも、料理人への深い愛情が感じられた。服部の名を冠した調理師学校を率いる教育者でもあったからだろう▼自ら「服部流割烹家元」を称していた。戦国時代から続く名家で、カレーを日本に初めて紹介した一族でもあるという触れ込みだった。ところが、服部姓が本名ではなく、単なる通称名であることが発覚。つまりは「戦国時代から続く料理人の家系」というのは、全くの作り話だった。加えて調理師の免許を所持していないことも明るみに出て次第にテレビから姿を消した▼ありていに言えば、経歴詐称である。それでも長年食育活動に力を尽くしたことから5年前に文化庁長官から表彰されたことを思えば、功績の方がはるかに大きかったのだろう。なるほど、通称名をあたかも本名のように装うのは別にしても、箔を付けるために経歴に色を付けるのはあることなのかもしれない▼服部さんの「ウソ」は赤の他人を傷つけたりするものでなかったが、こちらは違う。いわゆる「オレオレ詐欺」と呼ばれる特殊詐欺のことだ。中でも警察官や検察官を名乗って多額の現金をだまし取る事件が続出している。大分合同新聞の報道によると、今月4~6日のわずか3日間で、6件8070万円の被害が発生した▼だまされたのは、いずれも大分市内の高齢女性。老後の蓄えがごっそり奪われたようなものである。今年の特殊詐欺の被害総額は、すでに昨年1年間の約3億1000万円を超えている。まさに危機的状況だ。詐欺の小道具に使われた警察も、面目丸つぶれであろう。検挙に優る防犯なし。県警の奮起を期待したい。(熊)
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