大分建設新聞

四方山

注目の大分2区

2024年10月10日
 今から1000年ほど前、ローマ教皇が滞在していた北イタリアの城門前で、雪が降りしきる中、裸足で祈り続ける神聖ローマ帝国皇帝の姿があった。破門の許しを請うためだった。三日三晩立ち続けた末に、ようやく破門が解かれた。教皇の権威が皇帝のそれを上回ることを天下に知らしめた出来事であり、城の名前から「カノッサの屈辱」として今に伝わる▼間近に迫る衆院選。自民党現職の衛藤征士郎氏が君臨する大分2区が早くも熱い。同区からの出馬を表明している新人の広瀬建氏が4日、同党県連に公認申請を申し入れた。だが案の定、県連の対応は「現職(衛藤氏)を公認候補として党本部に申請する」とけんもほろろ。そのニュース映像を見たとき、カノッサの屈辱が思い浮かんだ▼けれども、その映像には取材する各媒体の記者たちも写っていた。恐らく広瀬氏サイドからのリークのようなものがあったのかもしれない。門前払いを食らいながらも、県連本部から堂々と出てくる広瀬氏の姿は、守旧派に挑む改革派のような趣も漂う。すでに激しい前哨戦が始まっている▼西日本新聞が4日付紙面で、元自民党幹事長の古賀誠氏が先月末、大分市内で開かれた広瀬氏の後援会会合に出席したことを詳報した。「道路族のドン」と呼ばれたかつての実力者は「こんな志の高い方がいるとは」と、広瀬氏を持ち上げた。広瀬氏の父は20年県政を担った勝貞氏で、言うなれば新星のサラブレッドである▼一方の衛藤氏も当選13回の超ベテラン。衆院副議長を務めた永田町の実力者である。石破茂首相の党総裁選出馬に当たっては推薦人に名を連ねた「勝ち組」。保守分裂の激戦となるのは必至である。どの業界も気が気でないだろう。石破首相の掲げる「納得と共感」が得られるような戦いを期待したい。(熊)
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