大分建設新聞

四方山

野生動物

2024年10月02日
 夜に愛犬と散歩をする時、さまざまな野生動物に遭遇する。季節的なものもあるが、最近、目にしたのはイノシシ、タヌキ、アライグマ、アナグマ。野生動物は人間の気配を察知したら逃げるので、目にすることは少ない。先ほどの動物たちは、道路上などでばったり会って、お互いにビックリしたのである▼遭遇して危険な野生動物はイノシシ。愛犬も含め、私自身もけがをする可能性がある。大分市内の住宅地で、犬の散歩中にイノシシに襲われたというニュースも耳にした。では、イノシシが増えているのか調べると、実際は減っている。県の資料では2022年度のイノシシ捕獲頭数は過去最高の4万頭以上で、イノシシを含む鳥獣被害額は過去最少の1億5000万円。捕獲をはじめ、防護柵などの各対策が有効に機能している結果だ。また、環境省の資料では21年度末推定で、全国のイノシシ生息数は約72万頭とされ、年々減少しているらしい▼昔は、イノシシとの遭遇は山深い地域が多かった。住宅地で見かける野生動物といえばイタチだった。しかし、近年は里山が荒廃し、人と野生動物が住むエリアの境界線が曖昧になっている。事実、私の住む地域でも境界線が荒廃し、山が住宅地近くまで迫っている場所が多くある。頭数は減っても活動範囲が広がれば、住宅地に現れる可能性は十分にあるだろう▼先日、身近な鳥であるスズメの数が減少しているという記事を目にした。絶滅危惧種レベルだという。減少理由は、気候変動や管理されなくなった里山の増加による生息環境変化などが挙げられている▼里地里山の風景は日本の心だ。しかし、少子高齢化による人口減少、気候変動など、人間が発端となって起こすさまざまな問題が、野生動物にも影響を及ぼしていることを忘れてはならない。(せい)
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