大分建設新聞

四方山

お手並み拝見

2024年10月01日
 入門して1年半ほど。初土俵からわずか9場所で大関の地位をつかんだ大の里。まだ24歳。史上最速の昇進である。髪の伸びが追いつかず、大関昇進の伝達式では、大銀杏を結えず、ちょんまげ姿だったというのもほほえましい。ちょんまげの力士が伝達式に臨むのも史上初。まさに異例のスピード出世だった▼こちらの方は、2008年の初挑戦から16年、5度目の出馬で自民党総裁の椅子、ひいては首相の座をつかんだ。父親も自民党国会議員の二世議員である。とはいえ、「どじょう」を自認する立憲民主党の野田佳彦代表が「金魚」とやゆする世襲議員のような派手さとは無縁だ。飾らぬ言動、そして地方再生に力点を置く主張は、国民からの人気は高い▼座右の銘に挙げるのは「鷙鳥不群」。鷲や鷹のように強い鳥は群れずに行動するという意味だ。なるほど、歯に衣着せぬ政権批判も辞さず、安倍晋三、麻生太郎両元首相からは「党内野党」と毛嫌いされた。だがそれゆえに「同志」と呼べる同僚議員は数えるほど。党内基盤は脆弱だ▼それでも、自民党が〝嫌われ者〟の石破茂氏を選んだのは、裏金問題などで国民の信頼を失ったいま、党再生を託せるのは石破氏しかいないと判断したからであろう。「ともに助け合い、悲しい思い、苦しい思いでいる人、そういう人たちを助け合う日本にしていきたい。日本を守りたい、国民を守りたい、地方を守りたい。そしてルールを守る自民党でありたい」。総裁就任の演説は、言葉の力を感じた▼大関昇進に当たっての大の里の口上も新鮮だった。「大関の地位を汚さぬよう、唯一無二の力士を目指し、相撲道に精進します」。唯一無二。これもまた力強い言葉だった。石破氏は首相の地位を汚さず、どう日本の舵取りをしていくのか。まずはお手並み拝見だ。(熊)
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