大分建設新聞

四方山

時代に即した改正

2024年09月12日
 私たち建設業界とも密接に関わる下請法。買いたたきなどの不当な扱いから中小企業を守る趣旨で1956年に施行された法律だが、公正取引委員会と中小企業庁は改正に向け、有識者会議を開くなど議論を進めている。経済の好循環の実現のため賃上げを後押しする環境を整備するのが目的という▼狙いはもう一つある。下請法の改名だ。「下請」という言葉について、差別的だという批判がかねてからあり、この際見直そうという機運が高まっているという。機は熟したということなのだろう。パートナー法などの案が上がっているという。20年前にも議論され「時期尚早」という理由で見送られた経緯がある。法律の改名はハードルが高いのだろう。それに比べたら教科書の方はかなり低そうだ▼昭和世代にとっては「奴隷解放を断行した米大統領は?」と問われたら、迷わず「リンカーン」と答えるだろうが、現在の高校教科書の多くは、「リンカン」と書かれている。原語読みに近い表記というのが令和の教科書の流れらしい▼米大陸を発見したコロンブスについても、教科書の世界では「コロン」の表記が広まっているという。そして、今注目されているのが本県にもなじみ深いキリスト教宣教師のザビエル。ポルトガル語読みの「シャヴィエル」と記述する高校の世界史教科書が登場している▼大分のシンボルとして大分駅前にはザビエル像が鎮座する。近い将来、銘板の書き換えが迫られるかもしれない。思えば、米ソ冷戦時代のレーガン大統領も当初は「リーガン」と表記されていたが、ほどなく修正されレーガンが定着した。一度決まれば名称の変更はそう厄介なことではない。冒頭の下請法だって改名が問題の本質ではない。時代に即した法律にどう変えていくのかが問われている。(熊)
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