大分建設新聞

四方山

化石ロマン

2024年09月09日
 夏が駆け足で去り、秋の足音が近づいてきた。ロマンを感じやすい季節なので、秋は良い。晴れた日に爽やかな風に吹かれようものなら、どこか遠方へ出掛けたくなる。芸術や文化、映画や本、普段は聴かないジャンルの音楽にも触れたくなる。おっと、忘れてはいけないのが「秋の味覚」。新米のおにぎりに、サンマの塩焼き…秋は誘惑がいっぱいだ▼私がロマンを感じるアイテムの一つに「化石」がある。宇佐市の安心院地域に堆積している350万年前の地層からは、ミエゾウやサンバージカなど、太古の時代に暮らしていた動物の化石が多数発掘されている。宇佐消防署南部出張所裏の崖からはサイ科の化石も発掘されるなど、安心院盆地は鮮新世動物群の国内屈指の化石産地として知られている▼あまり目立ってはいないが、深見川沿いのミエゾウ化石発掘場所には看板も立てられている。「ここを昔、あんな大きな動物が、のしのし歩いていたのか」と思うと、少年のように心が躍る。いまも地中に眠る、何万年も前の生の証。まさにロマン▼気付けば「ドラえもん」が誕生すると設定された2112年まで、あと88年だ。先の話だと思っていたが、もう残りカウントは100年を切っている。さすがにその時代までは見届けられないが、空飛ぶ車など、少し前では夢のまた夢だったアイテムが、次々と実用化に向けて歩み始めている。そのうち、いま当たり前に使っているスマホなどが、懐かしい化石のように扱われる日が来るのかもしれない。そこはちょっと、ロマンではなく「切ない」▼13日から1カ月、宇佐市民図書館の2階ギャラリーで、先に触れたミエゾウなどの動物化石の実物を展示、また、発掘の様子を語った企画展がある。化石ロマンを感じたい方は、ぜひ足を運んでみてほしい。(万)
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