大分建設新聞

四方山

日本人の常識

2024年08月27日
 閉店のBGMとしてすっかり定着していると思っていた「蛍の光」の旋律だが、令和の時代になって危機に瀕しているという。100円ショップの「ダイソー」は閉店を知らせる音楽を、「蛍の光」から、グループ会社のUSENが制作した「Good Day」という曲に変えた。聞いてみると、オーボエが主旋律を奏でる静かな曲調だ▼変更する理由が何とも興味深い。外国人客が増え、「『蛍の光』=閉店時間」という常識が通用しなくなったためだという。日本人は「閉店」の合図と認識しても、外国人は普通のBGMとして聞き流してしまうらしい。「蛍の光」は元々スコットランドの民謡。それが明治の頃、歌詞が付けられ「蛍の光」として知られるようになった▼日本でその旋律が閉店の曲として使われ始めたのは、1949年に「哀愁」という米国の悲恋映画の公開がきっかけだったらしい。主人公の男女が落ち合う酒場のラストソングの設定で使われ、映画のヒットで閉店ソングとして広まったという。〝輸入文化〟のはずなのに、いつの間にか今時の外国人には通用しなかったようだ▼NHKで非常識な〝事件〟が起きた。海外向けのラジオ国際放送の中国語ニュースで、中国籍スタッフの男性が沖縄県・尖閣諸島を「中国の領土」とアナウンスし、英語で「南京大虐殺を忘れるな」とも発言した。日本の公共放送を使って中国の主張を世界にばらまいた格好である▼小さな町でも外国人を見かける時代になった。2023年末時点で、在留外国人は約341万人に上り、総人口の約3%を占める。多文化共生の社会がすでに到来している。それは「日本人の常識」が徐々に通用しなくなることを意味している。どう向き合えばいいのか。政治の役割だが、答えを示してくれる様子は見られない。(熊)
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