大分建設新聞

四方山

夏休みの家

2024年08月07日
 子どもたちは夏休み真っ盛り。それぞれが楽しい思い出づくりをしていることだろう。県外に出た家族も、大分の夏を懐かしんで帰って来ているかも…▼私が小学生の頃は関西地方に在住していた。夏休みには県南の母方の祖父母2人暮らしの家に、一家で帰省するのが恒例だ。同じ集落に父方の実家もあったが(私の生家だ)、すでに何年も空き家状態(その後解体・新築、現在は母親が住む)。その敷地内に父方の伯母夫婦が家を建てた。そこで、私は夏休みの大半を過ごすことになる▼伯母には娘が2人いて、妹は私の6歳上、姉は10歳上で、一人っ子の私には姉ちゃんが2人できたようなもの。それに同じ年ごろの従兄も帰省してきて伯母宅に泊るので、遊び友達も加わる。伯母家族は皆が陽気な人たちで、夕飯の用意を楽しそうにする伯母の笑い声が絶えない▼だから当初は祖父母の家に泊っていてもすぐに退屈してしまい、伯母宅に入り浸りになる。昼は目の前の川でカニを捕まえたり、夜は伯父と従兄と3人でテレビのキックボクシングを観戦したり。お年頃の従姉妹が夕食に戻って来るといっそうにぎやかに。私が何日も帰らないので、祖父母宅から母親が連れ戻しに来る始末で、何か悪いことをしているように感じた▼こうして中学2年生までの夏休みは、その「家」とともにあった。家は私が還暦になっても解体されずに遺された。その家に今、私が1人で住んでいる。ほぼ当時のまま、築50年以上だけに相当ガタが来ている。その代わりに…キックボクシングを見た洋間は植物いっぱいのパソコン部屋に。2階の従姉妹の部屋は物置兼猫部屋に。皆で夕飯を囲んだ畳の間は布団とハンモックのある寝室に。そこに夏が来ると当時の思い出が鮮やかに蘇る▼私の「夏休みの家」は健在である。(コデ)
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