大分建設新聞

四方山

構図

2024年07月16日
 「民衆を導く自由の女神」となるか。アメリカ大統領選挙の候補者であるトランプ前大統領の銃撃事件。星条旗がはためく下でシークレットサービスの警護官に抱えられ、拳を突き上げる姿の写真は世界中に大きな衝撃を与えた▼私は、その写真がフランス7月革命を描いた「民衆を導く自由の女神」の絵と似ていると思った。やはり同じことを思った人が世界中に居たらしい。SNSなどで話題となった▼写真の撮影者は、報道業界で最高の栄誉とされるピュリツァー賞を受賞したことがあるカメラマン。不謹慎だが、さすがの構図である。現職のバイデン大統領の衰えがクローズアップされている中、銃撃を受けても立ち上がるトランプ氏の力強い写真。間違いなく流れは変わってくるだろう▼私たちもカメラを扱う者として、常によい写真を撮影するように心掛けている。撮影場所の明暗をはじめ、被写体との距離、構図なども気にしながら撮影をする。有名な写真家の先生に話を聞く機会があり、撮影のポイントを聞くと「写真にはストーリーと配色が重要」だと言う▼風景写真は、きれいだが、きれいな写真で終わってしまう。例えば写真に人や鳥、何かが写り込むことでストーリーができるのである。また、配色では、例えば晴れた日の海の写真は、空と海の色が似ているので、雲が出てる時間帯、または夕日の時間帯を狙うということである。トランプ氏の写真は、本当に不謹慎ではあるが、さまざまなストーリーが散りばめられ、配色も絶妙な写真であった▼トランプ氏銃撃事件の6日前は、安倍晋三元首相の銃撃事件から2年が経った日である。安倍元首相は大統領時代のトランプ氏と親交が深かった。大統領選挙まであとわずか。トランプ氏が強運を武器に、どう選挙で戦うか、注目したい。(せい)
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