大分建設新聞

四方山

気温上昇の影響

2024年07月11日
 20年ほど前まで船釣りによく出掛けた。と言っても、大物狙いではなく、もっぱらアジ狙いだった。針にかかった時のピクッという微妙な感触が面白く随分と凝ったものだ。その時、厄介だったのが餌にありつこうと寄ってくるサバだった。サバの横走りと呼ばれるほど、猛烈な勢いで突っ込んでくるので釣り客同士の糸が絡み合い、釣りどころではなくなる▼船上のサバは厄介払いのように海に戻してしまったものだ。そのバチが当たったのかとさえ思うほど、なかなか食卓の上には並ばなくなった。小売価格は30年前に比べて倍近くになったとも指摘される。おまけにかなり小型化しているという▼東京大の研究チームによると、2010年代のマサバ(6歳魚)の平均体重は805㌘。1990年代は1010㌘だったというから20%ほど軽量化した計算で、一回り以上小さくなったと言えようか。例えば、現在の日本人男性の平均体重は約78㌔である。それがいきなり62㌔になるわけで、人種が変わるような大激変である▼言うまでもなく地球温暖化の影響である。上層の気温上昇のため、海水の循環機能が低下し、餌となる下層のプランクトンが上層に行き渡らなくなっているらしい。地上も半端でない。まだ梅雨明け前というのに、7月3日には早くも県内に熱中症アラートが発令された。今年は「史上最も暑い夏」と言われた昨年をさらに上回る猛暑となりそうで、気象予報士の森田芳光さんは「形容しがたい暑さになる」と予測している▼本紙6月26日号で伝えたように、大分労働局は熱中症対策の徹底を各団体に呼び掛けている。過去3カ年の熱中症による累計患者数339人。業種別では建設業がトップで3分の1を占める。それこそ、「これまでにない予防対策」が求められている。(熊)
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