大分建設新聞

四方山

まちづくり

2024年06月24日
 厚労省の国立社会保証・人口問題研究所は、昨年12月22日に2050年までの地域別推計人口を公表した。全国的に見ると、20年比で東京都以外は全ての道府県で減少し、人口は17%減の1億468万6000人となる見通しだ。最大の秋田県は41・6%減、次いで青森県の39%減と続く▼県内人口は25・1%減の84万1343人で全ての市町村が人口減。最大の姫島村が67・7%減で558人、次いで津久見市57・8%減で6800人、九重町が51・3%減で4159人と続く。これから25年ほど将来の人口推計であるが、私は公表された数字から大きな増加に転じることは、ほぼ無いだろうと考えている▼日本の人口は08(平成20)年に1億2808万人をピークに、減少に転じた。いうなれば、人口が増加し続けた社会構造は既に成り立たないということだ。便利な時代から不便な時代へ逆転しているのである。身近な変化を挙げれば、スーパーで買い物客が自分で清算する、薬が手に入らない、休日が多くて働けない―など▼人口減少に伴った「まちづくり」に関心が集まるところだ。過去の社会構造に逆戻りなのかは別として、大昔、姫島には多くの人から求められた特産品があった。観音崎は直径70㍍ほどの火口跡だが、高さ40㍍、長さ120㍍に及ぶ灰色でガラス質の「黒曜石」が露頭している。縄文時代を中心に当時の人が「矢じり」などの道具に加工するため、この石材を競って求めた。その分布は西日本一帯に及ぶという。狩猟生活に必要な石材は、姫島など限られた地域の限定品だった。数千年間、姫島は多くの人でにぎわっただろう▼まちづくりには「生む」「残す」「捨てる」、思い切った取捨選択が必要である。人口増加社会よりも人口減少社会で求められるものは何か、考えたい。(勇)
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