大分建設新聞

四方山

農家の苦悩

2024年06月11日
 今年も、田植えを無事に終えた。東北地方では雨が降らずに全体的に水不足が叫ばれている。特に、水田の水が確保できず農家は困っているようだ。農業用水のダムでは貯水率が低下して枯渇する日が迫っているという。一方、県内は、この時期に合わせて雨が降り田植えに忙しい農家には、恵の雨となった▼6月8日は「卯の日」だった。昔から田植えをしてはいけないという。調べるといろいろな理由や伝承があるためはっきりしない。「田の神様が休む」から農作業をしてはならない。また、この日に田植えをするとその年のコメが食べられなくなる―などいろいろ。昔の農民にとって、ウサギは農作物を食い荒らすことから、卯の日に田植えをしてはならない風習が根付いたともいう▼高齢者でコメ作りが熟練な農家は、卯の日の田植えは必ず避けて農作業を休むことにしているようだ。しかし、先日の卯の日は、不思議と田植えをする人が目立った。今は、昔からの伝承や習慣は関係なく、土日作業が重要視されている。専業農家ではなく兼業農家が多いことも挙げられるが、現代人は忙しく「田んぼの神様も休ませてもらえないのか」と、時代の変化を学んだ▼共同戸数も減り、1戸で水田を続けている農家に話をする機会があった。昔は、数戸で管理していた堰や水路だが、今は1戸で管理しているという。堰の土砂上げ、数百㍍に及ぶ水路の土さらい、害獣による補修などコメ作りが極めて厳しい現状を改めて知った。その農家は現地でのコメ作りは限界にきているという▼「価格が安いコメ」をなぜ作るのか。「肥料価格が上がった」「燃料代が上がった」「昔から農機具価格は安くならない」「ほ場整備してのり面の草刈りに苦労している」など、田植え現場では例年となく不満が多い日だった。(勇)
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