大分建設新聞

四方山

定額減税と裏金明細

2024年05月30日
 国宝姫路城と言えば白鷺城とも呼ばれるように、城郭の美しさから天下一の名城とうたわれる。城内で見落としがちなのが「お菊井戸」。「播州皿屋敷」の舞台である。ささいなことで殿様から手打ちにされたお菊は、いまふうに言えばパワハラの犠牲者であろう。播州(兵庫県)の地には、令和になってもお菊の亡霊がさまよっている▼発端は今年3月。西播磨県民局長だった県幹部職員が斎藤元彦県知事のパワハラ体質を告発したことだった。斎藤知事は「うそ八百」と全面否定。局長は3月末で定年退職の予定だったが、県はそれを取り消し、降格させた上で停職3カ月の懲戒処分にした。粛清人事である▼ところがここにきて、告発した内容は大筋で間違いなかったのでは、という見方が広まり、県は第三者委員会を設置することに。加えて、物価高騰対策として県が打ち出したプレミアム付きの地域商品券を巡って、知事の新たなパワハラ疑惑が浮上した。告知ポスターに自身の顔写真が入っていないことに激怒し、ポスターを作り直したという▼東京・永田町も同じようなものだ。岸田文雄首相は自民党会合で、6月から始まる所得税などの定額減税に絡んで、給与明細に所得税の減税額を明記するよう企業などの事業所に求める考えを改めて示した。減税は岸田政権の恩恵である、とでも言いたい気持ちなのかもしれない▼即座に反応したのが立憲民主党の小沢一郎衆院議員の事務所。「『少しは返してやるから感謝しろよ、次の選挙は自民党に入れろよ』というだけのこと」と手厳しい。それにしても、減税額を新たに書き込むのは、事業所の責任である。手間についてはどう考えているのだろうか、と思ってしまう。丸投げの対応に、ついつい思ってしまう。裏金の使途の明細はまだでしょうか。(熊)
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