キダ・タローさん死去
2024年05月21日
カンニングと言えば、昭和のころは小さな紙に公式や化学記号を書き込んだりした、いわゆる「カンペ」だった。中には消しゴムに書き込み、書いていたことを忘れ、使っているうちに消えてしまったという笑い話も耳にした。ハイテク時代の今日、カンニング事情は様変わりしたようだ。早稲田大学創造理工学部の入試で使われたのがスマートグラスなるシロモノ▼早い話がカメラを仕込んだ眼鏡で、問題用紙を撮影し外部に送信して、協力者から回答を送ってもらう算段だったという。特徴ある眼鏡らしく、別の学部の試験会場で見破られた。♪眼鏡は顔の一部です?というCMソングが昔はやったが、この受験生の眼鏡はさまにならなかったらしい▼黒縁の眼鏡がトレードマークだった作曲家のキダ・タローさんが他界した。93歳。「浪速のモーツァルト」を自称し、生涯に手掛けた作品数は5000曲とも。大阪文化を象徴する人でもあった。歌謡曲のヒット曲は知らないが、「プロポーズ大作戦」などテレビ番組のテーマ曲はどれも秀作揃い▼明朗な人柄を反映してか、どれも軽快で明るい曲ばかり。とりわけCMソングで才能を発揮した。「あ~らよっ、出前一丁?」など忘れがたい作品が目白押し。秘訣については「社長になりきって作ること」(朝日新聞ニュースサイト)と話していた。「買うて」という思いを曲に乗せていたのだろう▼経済効果は豆腐屋のように2兆円、いや3兆円と景気のいいことこの上ない大阪・関西万博。ところが前売り券の売り上げは4月現在、目標の1400万枚の1割に満たない約120万枚という。キダさんだったらどんなCMソングを作るだろうかと夢想する。博覧会協会長になった気分で…。とはいえ、逃げ出す姿しか思い浮かばないのが悲しい。(熊)